大会前は、水分と塩分を抜くべきなのか。
炭水化物はいったん減らしてから、
大会直前に大量に食べるべきなのか。

調べれば調べるほど正反対の意見が出てきて、
何を選べばよいのか迷ってしまいますよね。

自分も8月30日の筋肉医局祭という
医療者だけのフィジーク大会に出場します。

そこで現役医師として文献を確認し、
自分が実際に行うピークウィークの方針を考えました。

この記事では、

  • 研究からわかっていること
  • まだわかっていないこと
  • 自分は実際にどうするのか

この3つに分けてお話しします。

極端な方法で体調を崩さず
これまで作ってきた身体をステージへ持っていく。

大会前の調整に迷っている方が、
自分なりの方針を決める材料になれば幸いです。

結論から言います。

極端な事はしません。
今回私は

極端な水抜き・塩抜きはしません。

炭水化物は大会2〜3日前に増やし

トレーニングは2〜3日前に終了します。

カーボディプリートする・しない
水抜き・塩抜きするしない
いろいろな意見が溢れていて悩んでいる。

イメージ券売機にボタンが100個あって
立ち尽くしている人多いのではないでしょうか。

分かります。
減量、大会間際の不安もあいまって、さらに悩ましい
実際に8月30日に大会出場する
自分がどうしたらよいかわからないので
文献を確認して妥当な結論を考えました。

ただ一つここでお伝えしたいです。
正直ヘッジをかけるんですけど

これは医学的に証明された唯一の正解ではありません。

結論が出ていないのと、十人十色だからです

ピークウィークは
ボディビルダーを対象とした質の高い研究が少なく
まだ分かっていないことが多い分野です。
医学的な文献も結局

こっちがいいかもしれないが
何もしなくてもいいかもしれない

みたいな結論もあります。

そして十人十色
消化しやすい食べ物、便秘や下痢になりやすい食べ物って人による
参考にした論文も2週間前に自分の体で試してみましょうと書いてあったりします

 

そこで今回は

今回お話しすること
  • 研究からわかっていること
  • わかっていないこと
  • 自分はどうするのか

この3つに分けて話します

大会前の調整に迷っている方が
自分なりの方針を決める材料になれば幸いです。

全体のイメージ

これが私の考える大会前1週間の過ごし方です

  • トレーニングは週の前半で終わらせる。
  • 水分と塩分は、極端に増減させない。
  • 炭水化物は大会2〜3日前に増やす。
  • サプリメントは、普段通り

こんな感じ。

簡単にすると

3日前に筋トレ終わり、炭水化物増やす
水分塩分は大きく変えない

です。

私が今回最も重視するのは、
「直前に、慣れていない極端なことをしない」
という原則です。

避けたいのは

  • せっかくしぼったのに今以上にむくむこと
  • 脱水や電解質異常で体調不良、
  • ステージ上でつる

こういったことを避けたいからです。

そして最終ゴールは

最終ゴール
  • 皮下の水分を減らす
  • 筋肉の張り最大化
  • お腹がふくれない

今回は
Peak week recommendations for bodybuilders: an evidence based approach
ボディビルダーに勧めるピークウィーク、エビデンスに基づくアプローチ
という2021年のレビュー論文を主に参考にしました。1)

それを踏まえて

  • トレーニング
  • 水分・塩分
  • カーボローディングを含めた炭水化物、脂質、タンパク質
  • サプリ

の順で話したいと思います

①トレーニング

結論

トレーニング予定
  • 7日前:普段通り筋トレ
  • 6日前:最後の下半身トレ(2-4回余力)
  • 4日前:最後の上半身トレ(2-4回余力)
  • 3日前:パンプアップ練習
  • 以降トレーニングしない。

まず下半身を上半身より早く終えるのは
下半身トレの方が疲労や筋肉痛が残りやすいからです。
これは筋肉の重量が多いこと、私の実感とも合います。

参考にしたレビューでも

余力を残したトレーニングを週の前半に行い、脚を先に終わらせ
後半筋グリコーゲンや疲労を回復する時間を確保する方法が提案されています。

 

そして大会当日に筋肉痛が残ればポージングに支障が出る可能性
また見栄えが悪くなると
直接証明されているわけではないですが

筋トレ後48時間後をピークに
筋肉の損傷や局所的な浮腫が起こる
という報告もあります。2)

もちろん、これを見た目が悪くなるとそのまま信じるわけではありませんが

今までのことを総合して

私は、直前まで追い込むメリットより
週前半余力を残し、後半は休んで疲労を抜くメリットの方が
大きいと判断しました。

②水分・塩分

ここが、おそらく最も意見が分かれる部分です。
私の結論は、

水分は前日昼まで多め、夜から控えめ

塩分は4日前まで多め、2日前から控えめ

にしようと思います。

これは私の考えと論文からです。

浮腫むって、どのような状態か生理学的に説明します

体の水分って、血管内と細胞内
細胞と細胞の間にある間質液
イメージ図こんな感じ。

浮腫むとは
ここの間質液、液体が過剰に増えた状態をいいます。

フィジーク、ボディビルとして理想なのは
筋肉の細胞内には水分を保ちながら、
皮下の間質にある水分を減らすことです。

筋肉は張っているのに、見た目はドライ。これです。

ただ、人体の水分量は、飲んだ水と塩だけで単純に決まるものではありません。

腎臓や複数のホルモンが、水分とナトリウムを一定に保とうと常に調整しています。

イメージ、人体には蛇口が1万個くらいあります。
正確じゃなくてあくまで比喩。

口から入れる水、塩、炭水化物という3つの蛇口だけで
体内の水分を正確に操作できるわけではありません。

しかも、急に塩分や水分を減らすと
体はそれを保とうと反応します。

そのため、塩分を抜けば必ず皮下の水分だけが減る、とは限りません。

参考にしたレビューでも

水分・塩分操作によって
見栄えが改善するかについて
十分なエビデンスはありません。

と述べています。1)

さらに、極端な脱水や塩分操作では、
電解質異常、筋肉の痙攣、体調不良などを起こす危険があります。

また、筋肉にグリコーゲンを蓄えるためには、水分も必要です。
炭水化物は小腸で吸収される際にナトリウムも関係するため
カーボローディングと同時に水分と塩分を極端に減らすことには疑問が残ります。

以上から、私は次のようにします。

水分と塩分
  • カーボローディング中に水は気持ち多め
  • 大会前日の夜からは、普段通りからやや控える程度にします。
  • 塩分も完全には抜かず、2日前から味付けを多少薄くする程度
  • 水分と塩分は、普段から大きく変えない。

これは「この方法が最も見栄えを良くする」と証明されているからではありません。
そういったものは見つからなかったので
ピークウィークで大きく外すリスクを減らす判断です。

また私は減量の余裕がありませんでしたが
数週前に試すとより良いみたいです。

③食事:カーボローディングを含む炭水化物、脂質、タンパク質

結論、私の予定は

食事の予定
  • 4-6日前 炭水化物少なめ
  • 2-3日前 炭水化物多め、脂質少なめ
  • 1日前 炭水化物普通、脂質多め

にしようと思います。

カーボローディング

カーボローディングとは、炭水化物を多く摂って、筋肉内のグリコーゲンを増やす
筋グリコーゲンは水分と一緒に筋肉内へ蓄えられるため、
うまくいけば筋肉の張りが増すって方法です。

その前に炭水化物を一度減らす「カーボディプリート」を行うことで
より多くのグリコーゲンを蓄えられる可能性も指摘されています。

ただし、ディプリートが絶対に必要だとまでは分かっていません。

例えば炭水化物を完全にゼロないし極端に減らす方法があります。

ただ私はしません。炭水化物0だと

眠れなさそうだからです。

脂肪を落とすのにも筋肉を残すのにも
トレーニングから回復するためにも睡眠は重要。

ディプリートによる理論上のメリットより睡眠不足や体調不良のデメリットの方が大きいと判断しました。

また参考にしたレビューでは、
筋肉内の中性脂肪を回復させる
「ファットローディング」という方法も紹介されています。

ただし、これによってステージ上の見栄えが改善するかを示した直接的な研究は限られています。

なので私は

前日に脂質を少し戻すが
大量に摂ることはしないと考えています。

そして、お腹の張りを減らすため
大会直前は食物繊維の多い食品を少し控えます。

 

ただし、これも初めて食べるものには手を出さず
自分が普段から問題なく消化できている食品を選びます。

消化しやすい食べ物、便秘になりやすい食べ物、下痢を起こしやすい食べ物には、かなり個人差があります。

そのため、普段から消化できているもの
自分の反応を確認できているものが理想です。

④サプリ

ここでの原則も
「直前に新しいものを始めない」

なのでプロテイン、普段飲んでいないので飲まずに肉、魚、卵から普段通り摂取。

クレアチンも普段通り継続します。

クレアチンと水分についての関係は、
多数のクレアチン研究者によるレビューによると4)

クレアチンは、摂取を始めた直後に体の水分量が増える可能性がある。

ただし、その増加は筋肉の細胞内液がメインである可能性と言われており
また研究によっては、長期摂取で体水分量に明確な変化がなかった
という報告もあるとのことでした。

なので私は長期的に飲むことで
細胞外液さっきの間質液を増やして
見た目を悪化させるとはいいにくい
と考えました。

そのため今回は以前から継続しており
直前に大きく変えないという原則も踏まえ
普段通り摂取します。

カフェインも変わらず、毎朝飲んでいるコーヒーを続けるのみです。

カフェインの取り過ぎは睡眠に悪影響を与える可能性もあります。

また、普段から飲んでいる人が急に中止すると
頭痛や倦怠感などの離脱症状が出ることがあります。

 

そのため、直前に急に増やしたり、完全にやめたりはせず、
普段と同じ朝だけ、普段と同じ程度にします。

以上が、私の考える大会前1週間の過ごし方です。

まとめです

  • トレーニングは、週の前半で終わらせる。
  • 極端な水抜き・塩抜きはしない。
  • 炭水化物は完全にゼロにせず、大会2〜3日前に増やす。
  • 食物繊維は少し控える。
  • サプリメントは、使い慣れたものだけを普段通り続ける。

そして、最も大切なのは、
ピークウィークに
過度な期待をしないことだと思います。

直前の数日間だけで、体が劇的に変わるとは限りません。
ステージ上の見た目に大きく影響するのは
そこまでに体脂肪を落とし、筋肉を維持できているかどうかです。

 

ピークウィークは、何かを大逆転させる魔法あるいは
溜まった夏休みの宿題を最終日に終わらせる期間ではありません。

今回いろいろ調べて
特に自分の身体で何度も実験していない私も含めた初心者は
これまで作ってきた体を
体調を崩さずステージへ持っていくための最終調整だ。

私はそう考えました。

 

またエビデンスも弱いので、
厳密に塩何グラム、水分何リットル、炭水化物と脂質、タンパク質何時に何グラム、何を食べて…

とやりすぎてストレスが溜まるなら、
極端でなく普段と大差ない範囲であれば
ある程度大雑把でいいと思います。

 

自分は性格上、
直前に何をどれだけ食べようって毎回考えるのがストレスなのと

・スーパーロボット大戦のキャラクターのステぶり
・パワプロのサクセス

そういうゲームのステータスを割り振るように
数字を計画的に割り振って
全体の作戦を考えるのが好きなので
いまある程度方向を決めたという感じです。

最後まで読んでくださって
ありがとうございます!

大会初心者の方は何か質問がありましたら、

また、大会経験者の方は
どのようなピークウィークを行ったのか
そして実際にどうだったのか。

ぜひコメントで教えてください。

ありがとうございました。

参考文献

1) Escalante G, Stevenson SW, Barakat C, Aragon AA, Schoenfeld BJ. Peak week recommendations for bodybuilders: an evidence based approach. BMC Sports Sci Med Rehabil. 2021 Jun 13;13(1):68. PMID: 34120635.

 

2) Fu C, Xia Y, Wang B, Zeng Q, Pan S. MRI T2 mapping and shear wave elastography for identifying main pain generator in delayed-onset muscle soreness: muscle or fascia? Insights Imaging. 2024 Feb 29;15(1):67. PMID: 38424366.

 

3) Homer KA, Cross MR, Helms ER. Peak Week Carbohydrate Manipulation Practices in Physique Athletes: A Narrative Review. Sports Med Open. 2024 Jan 13;10(1):8. PMID: 38218750.

 

4) Antonio J, Candow DG, Forbes SC, Gualano B, Jagim AR, Kreider RB, Rawson ES, Smith-Ryan AE, VanDusseldorp TA, Willoughby DS, Ziegenfuss TN. Common questions and misconceptions about creatine supplementation: what does the scientific evidence really show? J Int Soc Sports Nutr. 2021 Feb 8;18(1):13. PMID: 33557850.

ABOUT ME
筋トレ医師
神奈川出身。小学校でポケモン、中学校でパワプロ、ファイナルファンタジー、高校でジャグリング、大学でバドミントン、アキレス腱断裂し補助で始めた筋トレに熱中。熱中癖が強いです。筋トレ・ダイエット方法を中心に、趣味関係や読書感想を発信しています。